コラム
2021年8月7日蒸着技術の歩んできた道と、未来の蒸着へ期待
長年蒸着の仕事をしていますが、今では世の中に出回っている技術も
初めて出会ったときはとても驚いたことを思い出します。
先ず不連続蒸着という製法を例に挙げますが、材料となるスズ、インジウムは
金属なので電気を通します。これ当たり前の世間体です。
しかし蒸着して金属膜となれば電気を通さない、ことができるという事を
目の当たりにした時とても×2不思議でなりませんでした。
分子レベルで表面上にドットを作り、ドット間ですき間を形成することで
電気が遮断される電気を通さないという理屈ですが、簡単には形成できず
膜が厚くて一部導通したり、又薄くて金属色が出ない等、当時の皆で苦戦を
強いられたものでした。遠い昔話になりますが。
当時金属として、スズ(原子番号50番、原子記号Sn)、
インジウム(原子番号49番、原子記号In)の使い分けは何だろう
と思って調べると、湿気や劣化しやすい為、長時間使用するものは
インジウムの方が良いと言うことがわかり、金属の性質によることで
機能性を付与できることを知りました。
金属膜なのに電気を通さない、何もないようで電気を通す膜。
相反する2つの事を可能にする真空蒸着技術の可能性を感じたものでした。
現在、トーシン社内では、「重合」というトップコート不要の蒸着技術
で量産もしています。
日進月歩技術進化の中、年金受給者となった今、少しでも永く現場に居座れるよう
に昨日より進化した自分をめざして行きたいと思います。
これからの技術者へ
蒸着装置の中で、アルゴンガスと反応して蒸着時に発色される放電色。
クロムは青色、インジウムは紫色、銅は緑色、蒸着装置内の空間いっぱいに
広がって見える感動を覚えて欲しいと思います。
これからも、若い人や中堅処と上手くやりながら、これから訪れすであろう
想像以上の蒸着分野が展開していくことを待ち遠しく思いながら、
日々蒸着工程での作業に突き進んで参ります。
さぁ、次の時代へ飛躍する一助になりますよ!